色と羽 ?/木立 悟
 





羽を
水とともに飲み
水とともに飲み
暮れは破け
むらさきを飲み


光をくぐるもの
目をそらす埃
自分の髪を自分で編む冬
ぬかるみの故郷に降りそそぐ朝


蝋燭と火が作る字を
低い雨が書き換える
六十八と七十六
路の汚れと消える生


滴の壁 緑の矢
短いまばたきの痛みと羽音
水に降る霧
沈む輪の虹


空を頭に 頭を空に
手首と冷たさ ロシアの蝶
冬と冬のわずかな隔たり
針と叫びに照り返す


誰も認めぬあやまちの多さに
町は傾いだままでいる
鉱の光 水のかたち
暗がりが暗がりに触れる声


やわらか
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