鏡像段階/はなもとあお
苦しみ続ける
人は、自分をとりまく人に一定の姿を決められる
わたしは、いつ、だれといるとき、わたしになるの?
わたし、と呼ばれる
いくつかの役割の顔を
鏡に映しても
みんな同じ顔をしているけれど
それは、内側で、全然違う
あなたといるとき
すべてのわたしが
ひとつになれればよい
それがひとつの
愛の基準
たとえば、ひとつの側面だけなら
家族には、なれなくても
友人や職場の仲間やただ挨拶をするひと
そんなすれちがうけどつながりのある
関係をもつのかもしれない
理想と現実との姿の違いに
叩き割りたくなる鏡のイメージ
何を、どう、すりあわせていけば
あなたとわたしの価値感を共有できるか
……みたいな、視線の他者性のはざまで
眼は
自分のものでありながら
こころにも眼をもたなければならない
理想に近づくために
目の前にある、鏡のなかの、一個のわたし
外側はひとつ
内側はたくさん
それでも
ひとりの人間
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