poetarot(皇帝のカード)保存版/みつべえ
あなたは今日も、懸崖の上に立つ。
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版図を広げ、凱旋する。世界のはてから。というのは、嘘。生まれたところが、世界のはてだった。そこから、四方八方。果てはどこまで行っても。はてしなく、わたしはいつも。傷ついて帰還する、襤褸の王なのだ。
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やがて。星が流れ、いくつもの。夜が過ぎた、わたしに。つらなる先祖の、数よりも多くの。窓の外には、まだ。すべてがあるというのに。その家からは、だれも出てこない。
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雨の日。無聊に、過ぎる時間も。ただ消えてしまう、のではない。ふり積もる。そして。どこか深い、ふかい海の。底の。かけがえのない、傷口で。ぶあつい書物のように。綴じられ
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