はたた神/
八布
湯気の体が
空をつんざく音に
いったん裏返りまたもどる
王冠の金色よりも
はげしい色と形をして
夕立の前に吹いていた風は
僕の胸に火をつけていった
残忍で透明な蠍の火種
その影に浮かぶもう一つの顔
そいつの口元は笑っているが
どうして僕も笑っている
そして雨の拳が
等しく街を殴っていく
雨が水の涙なら
雷は闇の悲鳴なのか
そんな風に辻褄を合わせて
水たまりを踏んでしらける
戻る
編
削
Point
(2)