はたた神/八布
 
湯気の体が
空をつんざく音に
いったん裏返りまたもどる
王冠の金色よりも
はげしい色と形をして


夕立の前に吹いていた風は
僕の胸に火をつけていった
残忍で透明な蠍の火種
その影に浮かぶもう一つの顔
そいつの口元は笑っているが
どうして僕も笑っている
そして雨の拳が
等しく街を殴っていく


雨が水の涙なら
雷は闇の悲鳴なのか
そんな風に辻褄を合わせて
水たまりを踏んでしらける












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