翠/るるりら
 
いた


お爺ちゃんは むかし戦艦の設計に携わった
飛行機は、お爺ちゃんにとって畑違いのはずだけれども
設計者としての目を きらきらさせて
魚の骨は飛行機の骨と似ているのだと 言っていたんだ 


時代の潮流に呑まれた 多くの命
どこに骨があるのかすら わからんごとなった多くの人々
その喪失感 その家族 その歴史 その生きざま
その軌跡 それはとても口述できないものだろう

それでも わたしには
爺ちゃんの 魚の骨を見つめる目は

うつくしかった  



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