翠/るるりら
 
御爺ちゃんは お魚を食べるとき それはそれは丁寧に 
その骨をならべて
なぜか 零戦の話をしてくれた 
骨のアーチを並べながら、「綺麗だ」「綺麗だ」と
繰り返えしながら 並べられる銀色

おかげで わたしまで お魚を食べるのが上手になった
船造りに生きた お爺ちゃんが 骨になった日
葬儀場に 若かりし頃の写真があって
白馬に跨り 腰にはサーベルがあった

お婆ちゃんに結婚の申し込みに行った日も
白馬だったんだってね  
そういうの白馬の王子様って揶揄されるんだよ。
婆ちゃんは生前、お爺ちゃんのことを
「どこの馬の骨か わからんば人たい」と言っていた
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