てくてくの人/
煙と工場
てくてくの人には
万年いつも歩いている
ゆっくりと
足元を確かめるようにして
ゆっくりと
てくてくの人には
車の格好良さも
電車の力強さも
飛行機の優雅さも
持ち合わせては
いないけど
てくてくの人には
何気ない人々の格好良さ
道端の雑草の力強さを
街の移り行く儚さを
知っている
てくてくの人は
何時の間にか
冬の間に
アスファルトの下に
埋められてしまった
けれど
てくてくの人が
また一人また一人
春になれば生まれてきます
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