のっぺらぼう/HAL
きそうな鼻と大嘘をつく口
一言でいうならとても卑しい顔だった
のっぺらぼうのひとはきっと知ってしまったのだろう
この社会は精神病院以下の世界だと 淋しさを埋める“悪意”すらも
孤独に寄り添う“情愛”と呼ばれるものすら もうないと知ったのだろう
のっぺらぼうのひとびとは この世界をこの社会を
沈黙することで表情を隠すことで顔色を窺うことを拒絶した
できないはずなのに それでもなお独りで自分を支えようとする
そしてまたのっぺらぼうでない者はのっぺらぼうのひとびとに
心を寄せることすらなくそれぞれは違うのに
十把一絡げにしてサイレント・マジョリティと呼ぶ
またより性根の腐った傲慢な者は
どこも己と変わっているところはないことに気づかず
嘲笑すら浮かべて平然と社会的弱者とすら呼ぶ
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