立ち上がる波/まーつん
絶海の孤島に漂着して
今日で何日目?
生れ落ちた時から
君は遭難者だった
街を歩けば
行きかう人の
顔、顔、顔
彼等は所詮 幻
手の届かない 幻
握りしめた
砂の感触だけが
真実だった
波打ち際には
打ち寄せられた
ゴミ屑たち
死体みたいに
ゴロゴロしていて
ペットボトル
スチロール
腐った魚
流木
彼らと 君とは
似た者同士
行き場も 目的もなく
潮の流れに 乗せられて
挙句辿り着いた 掃き溜めに
身を寄せ合う 同類たち
日が沈めば
手の届かない高
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