【誕生日の友人へ】 空から降り立った僕たち/創輝
 
月が僕達の上をまたぐ頃……シンデレラがあわてて駆け出したその頃に
幾万という「生命(いのち)」が僕達の眠る町に降り注ぐ

希望だけを抱き 眠る生命は
いつの日か、今日分かれてしまった沢山の同胞(きょうだい)たちとの再会を望み眠りについた
僕らが眠る、この町の 優しい子守唄を聴きながら。

月が何度も満ち欠けを繰り返し
やっと生れ落ちる生命たちは
早くも空に駆けていってしまった同胞のために、泣く
泣くことで 生きる

町に降り立った瞬間から
少しずつ剥がれ落ちていく月の加護の代わりに
愛し合う若い恋人よ、歌え
怒れ 嘆け だが笑え
繕う必要などどこにもあり
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