色と羽/
木立 悟
消えようとする多くの母を
多くの子らが見つめている
遠去かる窓 朝の氷に
触れに来る羽
川に終わりを告げる間もなく
音はふいに光と消える
約束もなく 行方もなく
まとわりついて離れぬ白い蛾
冬の灯の盗人
むらさきを増す曇
色は時間を
静かに静かに掃き捨ててゆく
水は絶え 光は止まず
墓のような街をめぐる
夜も午後も昼も朝も
どこまでもおのれに似た爪を追う
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