水遊び/黒川排除 (oldsoup)
 
粘液を呼吸する魚の死んで浮いている腹に蜃気楼の見せる都市が透けている 実は嫌われた趣向が寄り添う白さに何の嘆きもなく飛び込んだから揺れているだけ 戻り得ぬものに讃歌 ぶれた現実が好んだ料理は忘れられた後片付けに証明された人殺しのメタファー 幼い頃満たされなかった感情は記憶を頼りに都市へ迷わせた あるいは頼らせたものが間違っている 調理を夢見て死んだ魚にかける言葉も送る炎も繁茂を極めた河原に隠れた姿では成仏も望めない 雷鳴が揺るがす鼓膜から地下に埋めたコンパスの虫を肥やしているであろうことを仮定の先に押しやり炎の先の尖った部分で神経を研ぐ 何かが来るのだ おそらく今は分からないふりをしておきながら後でさも知っていたような顔をするだろうけれども 歓声を背に何も乗っていない皿を両手で支えながら仮定の先の薄暗闇の反対側をいつまでも腹の探り合いだ そうだ 今蜃気楼の夢の中だ
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