タワー・オブ・テラー/済谷川蛍
 
エレベーターがあるように、それは騒音とともに上昇していった。「きゃあ!」とカオリがたまらず悲鳴をあげた。「助けて!」という声は自分たちと同じ年頃の声で、しかも自分たちの声にとてもよく似ていた。仰天して想太は反射的に2階のボタンを押した。すると意外にもエレベーターは言うことをきいて下に降りていった。
  「なに今の」とカオリが言った。ナツオは泣きそうな顔を想太たち年長のほうへ向けている。と、突然エレベーターが中途半端な位置から上昇を始めた。3階、4階を過ぎて、とうとう5階を通り越した。しかしまだ上昇し続けている。4人はパニックになった。カオリとケンジとナツオは「助けて!」と必死に扉を叩いて叫んだ。
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