もう一人のペソア/yamadahifumi
この孤独な思索者に
私が今、思い考える事とは一体、何か
そんなものには何の意味もないと
ペソアの放つあらゆる言葉達は絶叫している
もし、君が何者かでありたいと望むなら
つまり、君はペソアにはなれない
自分というものを極限まで切り刻み
思考の奥の夢を見る事こそが
彼の願いであったから だから
僕達はこの天才からあらゆる帰結や答えを
望む事はできない
誰も彼もが無名で生きているから
無名で生きている事をこうも極めた人間を
親しく読むという事は
おそらくは良い事かもしれない
生きる事とは何かの針に自分
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