『カット! 』/HAL
そして眼を醒ますとそこは病院のICUのベッドの上だった
すぐにそれに気づいて女性の看護師さんが医師を呼んだ
医師は言った 壁時計に眼を遣って1日半意識がなかったと
もう1本違う血管が詰まっていたら
きみは脳梗塞でもうこの世にはいなかっただろうと
今頃は棺の中に横たわって焼かれていただろうと
そんなものだ人生の終わりなんて 明日も生きていると想いながら
くも膜下出血で交通事故で天災で あるいは極端に言えば
誰かに殺される可能性だって絶対にないとは言えない
ひとはフェードアウトのようにこの世を去るのは稀にも稀だ
いつかの朝 いつかの昼 いつかの夜 ひとはカットアウトのように生を終える
そんなもんなんだ人生のピリオドなんて
誰もが明日も生きていると想わなきゃ生きてはいけない
それは奇跡のようなのに自分は生きていると想いながら
突然に『カット! 』の声を聴く
そんなもんなんだよ人生なんて
若いとか 老いてるとか 健康だからと関係なしに
何かが言うそのひとにしか聴こえない『カット! 』の声を聴くんだ
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