朝顔のこと/はるな
 

別れ際はいつもうそみたいにすがすがしかった。
うしろ髪をちぎれそうなほどひかれながら、それでもひとりで帰っていくこと。
もともとひとり同士のものが、いっときそばへ寄って、それからまたひとりへ戻っていくさま。いつもうそみたいにすがすがしかった。

(じき九年が経つ。
夏はだんだん伸びていく。さいごに彼に会ってからもうほとんど一年になる。
一年も、十年も、同じように遠いのだから、気にしない。
どうせ、何度でも馬鹿みたいに同じように恋に落ちては我にかえるのだから。)

夏休みを九日もらったということで、夫が朝ごはんをつくってくれる。米を炊くかあるいはパンを買ってきて、卵料理や豆腐な
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