君ら爆弾、かなり飛んでる/ざらざらざら子
 
この街全体を見下ろすにはあの廃ビルをのぼればいいんだけど、のぼっても見えるのは廃ビルそして廃ビル、だってこの街はちょいと昔からビルの墓場だから、人々はこの街を離れて新興住宅地の一角、小さな庭付きの家で紅茶にレモンの輪切りとかりんごをすりおろしたのを浮かべてズーズー啜ってるわけだ、そんなことどうでもいいんだけど、ケッコウどうでもいいんだけど、このビルの墓場にはだれも花を手向けにこないから、朽ちる速度は秒速なんてもんじゃなくなってる、鉄筋むきだしのビル、あのバカでかいビルには奥さんと子供と別れたおじさんが暮らしてる、そっちのビルには子供社会ができあがってるって噂、それからこのビルにはこの街を爆破させよ
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