箱庭にて 雪氷積りて 草花艶やかに/黒ヱ
永遠にだ
幻が語りかけてくる
「まさか! 信じていたか!」
己の存在を事細かに話している
「なんと馬鹿馬鹿しいことだ」
再びの幻
「お前は知っている! 気付いている!」
喚き止まぬ老婆
「愚か者め」
それらは口々に呟いている
孤独を刻々と呟いている
二つに見える影に 盛大に嘆いている
幻と老婆
「ひとりで」
生きていけ
「たったひとりで」
生きていくのだ
「そしてひとりで果てるのがよい」
不貞腐れ 箱に投げ入り
声を流し
そしてまた 土に眠る
それみたことか
またか
幾度目の繰り返しだろう
また始め また
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