充血した夜/加藤小判
 
不思議な色の蝶々が飛んでいる

それは輪郭の曖昧な
色彩だけの蝶

夜の透明な影を磨く

電灯に錆びた灯りがともり
ナイフが鈍感に尖り

どこかで
海が泡を立てながら
消えてゆく

そして
充血した地殻が露になる

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