日々の不安に/
殿岡秀秋
日々の不安に花が咲く
小針の形をしていて
胸に痛い不安の種を
心の庭にまく
その姿が見えないように
土をかぶせて
言葉の水をまく
新しい種が
胸をチクリと刺す
それもまた
心の庭にうめる
言葉の水を十分に吸いこんで
種は芽をだし
陽を浴びて
茎をのばし
蕾をつくり
風にゆれて
種の形からは想像もできない
花を咲かせる
薔薇の血の色
野菊の黄色
シクラメンの白
桔梗の青い色
悲しい影の上に
美しくひらいて
語りだす
その声に耳かたむける
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