おななのこ/中川達矢
 
少女の腹面にうつる影が
ふわりふわりと浮き足立ち
客足途絶えた 石英のキッチンで
身をかがめて 影が人になるのを
待つ 過ぎゆく秒針のあいだと間と
ショータイムでの出しもの
「はやく はやく」の呪文が祝詞になる時
手垢にまみれた奇数が ぶっ飛ぶ
刻々と冷めていく シチューの横で
おなかにうつる影は ずっと黒い少女のまま
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