似ていて、けれども違うこと/
草野春心
犬
モップの形をした……
砂塵はさらさらと舞い、
生活のひびに埋まっていった
きみの手は老人のように冷たい
きみの眼は翡翠のように冷たい
それらは似ていて、けれども違うことだ
医師
テーブルキャンドル
名もない野花
いま、弓なりになった闇に
光の錐で穴を空けよう
いま、土と草と陽の光の絨毯のうえに
一斉に半分ずつ心を置いてみよう
それらは似ていて、けれども
けれども、
確かに違うことなんだ
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