背負って生きられるのかね/影山影司
出入りする業者の一人だった……挨拶を交わすうちに、お互いの連絡先を交換して、それからさらに挨拶を重ねて、食事の約束を取り付けた。
その時話したことを思い出して、彼女のことを理解しようとは思うが、そこから先へ想像を進めるのは良くないだろう。それは、隣人の食卓を見て家族の様子を探るようなものだ。想像でしかないことで、一喜一憂したり、相手のことを愛したつもりになってはいけない。
カミオは、その点に関しては分を弁えている。ストイックさがあった。
トットは、人との食事を喜ぶような人間ではなかった。彼女は、一人で十分なのだと時折言う。人と喜びを共有したり、悲しみを分かちあったりしなくてもいいのだと
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