真珠/有邑空玖
 
もうそろそろ夢から醒める頃合でしょう。
あなたを包むその殻は
いつまでも守護し続けられるほど強固じゃない。
……判っているのでしょう?


誰もが自分の足で立って
そうして歩いていかなければなりません。
時々は空を見上げて
溜息を吐いても介意(かま)いません。
弱さを悼み、強さを厭い、
正しきを疑っても穢されることなどございません。
肝心要はその信条。


もうそろそろ嘘など吐かずとも宜しいでしょう。
あなたが抱(いだ)くその殻が
内包するのは痛み哀しみ憂い戸惑い。
……醜いはずがないでしょう?


好きなものは何? 嫌いなものは?
信じてくれる人は何処にいるの?
壊れそうに果敢無い祈りは天を越えて
それでも祈らずにはいられないのです。


もうそろそろ夢から醒める頃合でしょう。
内包するその痛み哀しみ憂い戸惑い。
……美しく輝けば良い。



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