一瞬の劇場/yamadahifumi
何かが掌に残れば
それは温かく光るだろう
君が蛍でないにしても
君にも光る一瞬があるのかもしれない
この世界で生きている以上
僕達は火を燃やすための燃料以上の存在ではないわけだが
それでも、時には劇場の真ん中で
スポットライト浴びて堂々と演技する一瞬が
あるのかもしれない
そして、その時、人はどんな表情をするのか
僕はよく知っている
この一瞬に耐える為、時間というものをくぐり抜け
自分を作り上げてきた人間はおそらく
見事な跳躍を見せるだろうが
自分の存在しない亡霊は
光に当たって、溶けてしまうだろう
今、存在しない僕の幻体は
一体、どこのスポットライトを浴びているのだろうか?
僕は例え、僕が消滅したとしても
消滅しない一瞬を
自分の中の劇場で
造り上げようとしているのだ
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