木琴を叩く男/
信天翁
きまじめなエアコンの
息づかいがただよう居間の大窓から
貧弱な裏庭の一角をみる
猛暑に耐えている一本のむくげ
ものさびしげだが
願いごとひとつとり挙げず
薄桃色のいのちをささやいている
なのに 自問愚答に明け暮れて
男は木琴ばかり叩いている
青いゆめのわめきさえわすれて
戻る
編
削
Point
(3)