木琴を叩く男/信天翁
 
      きまじめなエアコンの
息づかいがただよう居間の大窓から
     貧弱な裏庭の一角をみる
  猛暑に耐えている一本のむくげ
        ものさびしげだが
    願いごとひとつとり挙げず
 薄桃色のいのちをささやいている
  なのに 自問愚答に明け暮れて
    男は木琴ばかり叩いている
  青いゆめのわめきさえわすれて
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