町の罪 (8月9日より少しして…)/創輝
靴なんかに意味はないと気づいたから
僕は、ソレに気づかなかった人に靴を与えて裸足で歩いた。
ここは、僕の親友の家。
千切れた腕が、焼け爛れて梁に挟まっているのを見つけた。あれはあいつの兄ちゃんの腕だな。そんなことを、無感動に見つめていた。
ここは、僕が大嫌いだったやつの家。
ここのは皆死んじゃった。改めて思い出したら、「あいつそんなに悪いやつじゃなかったかもな」なんてね、思っちゃった。
そしてここは、僕の家。
ほとんど跡形もない。見つけたのは、妹が着てた服の布切れ。僕はソレに触ることを許されていない。あれは、見えざる敵のものになってしまったから。
おふくろと喧嘩
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