君は英雄なんかじゃない (歌うたいと詩人と絵描き)/ホロウ・シカエルボク
 


人影まばらな平日の寂れたアーケイド、二〇時過ぎ
四弦鳴りきらないカッティングで愛をうたう男
暇を持て余している何人かが立ち止まるが
すぐに興味を無くして立ち去っていく


その一本南の飲み屋が並ぶ路地のとある店の中では
半裸の男がひんまげた詩を読んでいる
破壊が想像だと信じ込んでいるその姿からは
そのテーマ以上のものは驚くほど伝わって来ない


そこから数十メートル、とりあえず店の体裁を整えた感じの小屋の中では
奇抜で稚拙な落書きが額に入っていくらかで売られている
いまが排除されたような内装には
ではなんだというような説得力はメニューの小
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