葉月 震動/木立 悟
 





象のような花が咲き
絶えぬ浪を踏みつづけている
霜が静かに鳴っている


海をすくう
手のひらが光る
すぐに消える
すぐに光る


わだつみではない
一滴ではない
消えぬ水の紙魚
雷光ではない


昼の雪と
点くことのない灯
たどるのは光
色の失い光


冬を廻す窓
川の息
傾きに抗い
足跡の群れに立ち止まる


紙の裏 手紙の裏
行と行のはざまの火
白衣を照らす金いろが
隠した羽のふくらみに触れる


忘れられては拾われ
捨てられては抄われ
小さく 少なくなってゆく
空より高い水底から
地の営みに泣
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