八月六日の影/
イナエ
えたのか 足が絡まる
だが 石に刻まれた陰を
どのようにたどろうとも
一九四五年の八月六日に実在した身体に
たどり着くことはもうできない
だけで無く
辿ることさえ きっぱりと拒否して
存在しているのだ
重い足取りで着いた街灯の下で
添乗員は 口数少なく次の行動を促す
三角州にそそり立つビルの
谷底になった広場に漂う過去を
纏う私たちは
黒い影になって歩いた
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