SCHOOL/済谷川蛍
 
人間ってのは、装ってなんぼみたいなところがあるめんどくさい生き物だ。その点、猫たちは気楽でいい」
 「そ、そうですね……」
 にゃりおは、彼の足にじゃれついてくる子猫を憂いを帯びた表情で撫でていた。竹中は愚痴をこぼすように、話を続けた。にゃりおがどれだけ自分の思わせぶりな言葉を理解できるかあえて考えなかった。とりあえず話がしたかった。
 「僕は友達が一人もいなくてね。はは……。人間には二種類いる。一生のうち、人間よりも動物のほうに多く愛情をそそぐものと、そうでないもの。人付き合いが苦手な僕は前者かなー」
 「はい……」
 にゃりおは黙って猫を撫でていた。思春期特有の、物憂げで悲愴な目をし
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