空のある雲の意味/茜井ことは
いっぱい外気を吸いこむ
季節が巡っていくことの何が哀しいのか
それを嘆くことはゆるされるのか
あふれでる疑問を失うために
とりまいてくるものに従順であることが
こんなにもたやすかった時代が
わたしにもあったはずなのに
カーテンを閉めようか
部屋を濡らすオレンジが
際立たせているのかもしれない
同じ景色に立っているのに刻まれないあの影も
いつかの死に気づいたときのざわめきも
さようならへ、その加速するスピード
時間の遅らせ方なんて
いくつになっても知らないままだけれど
晩夏の空だって
入道雲を切りくずして
夕刻の早まりを隠している
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