空のある雲の意味/茜井ことは
 
大人びていく幸福に
ついていけないもどかしさを
毛布のやわさでまやかしながら
わたしは夏を食いつぶしている

開け放した窓からは
額を撫ぜる弱風と
時点に留まる笑い声

途切れることなく
わんわん音を鳴らしたセミに
ゆがめられた空気は
少しずつその乱れを正す
隙に
ひそやかにたゆたう秋の冷気を
着々と取り込んでいる

抗えないまま
ここまで来てしまった
そしてきっとこれからも

終末の気配を感じ取って
外を駆け巡っていた子どもたちは
あまりにもよく通る笑い声に怯み
家路についてしまった

終末の気配を感じ取って
子どもたちはもういちど
めいっ
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