天国へハイウェイ/ホロウ・シカエルボク
 


無が堆積する日常の中で屍蝋化した純朴が
何を見ることもないまなこただ見開いて
呻くような旋律が微かに漂う空間の中を
まだらになって静止している
まだらになって静止している
腐り果てたのは
あまりにも熱い血流と
竜巻のような叫びだろう
望んだ静けさは
凝固した肢体ではなかっただろう
火種の無い日々の中では亡霊にもなれず
書き終えなかった詩文のようにそこに留まっているのみだ
留まって
忘れられているのみだ
カセットテープの無録音部分のような
抑揚の無いさざ波の音
朦朧の時を支配している
利口に研いだ爪じゃなければ
掻き傷ぐ
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