イベント・ホールのこと/はるな
たしかに空のところに来ていて、たまにはビルのあいだに座り込んだりもするけど、たいていはまんべんなくわたしたちが夏にまぶされる。空によって。
このかんぺきな休日に、死にたいような気持のわたしでさえ、空調のきいたオフィスから這い出てマッチでたばこに火をつけるのは心愉しい。
ほんとうにこれだけの空のなかに、なんの思想もなく拠りどころのない心持ちのすばらしさといったらない。何にもさわらずに、ひとり分の空間をあけわたすにはぴったりのはずなのだ。
それからうちへ帰って玉子とハムを焼いて、パンにバタをごってりつけて食べた。
こんな日にことばのなんて無力なことだろう(蠅の実在)(イベント・ホールにやってきて、そして帰っていく人びと)(様々の種類の組みあわせの)(わたし以外の人びと)、わたしはすこし泣いたり笑ったりして、くたくたになって眠った。
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