スピン/ねことら
をあわせて揺れる。なにかに備え、カウントを刻んでいく。
領収書、レシート、スタンプカード、たいくつで財布のなかのひとつひとつのゴミたちをライターで燃やしはじめた。ゴミを減らせばそのぶん遠くまで距離がのびる気がする。
なにしてるの。燃やしてんの。店員くるよ、こないよ。目立ちゃしないよ。
アルミの灰皿は見る間に灰でいっぱいになっていく。夏だねー。名残おしいって。えなに。まだ始まったばかりじゃん。そうだね。そうだよ。
しゃべって。キスして。付き合って。別れて。日々はきれいなサイクルのままで、それは楕円状をしている。卵のかたち。きっと安心の象徴だ。だから、ただしくスピンしていかなきゃならない。
まだ朝まで深いじかんにいる。ぼくは大切に整えられた荒野をすすんでいく。逃げてることと同義だとしても、そんな素振りは見せてはいけない。
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