夏休み/nonya
 
供には人気者だった
爺やの歯の抜けた笑顔

ちょっと淋しい茶色


隣町の花火に見惚れて
とけかけたシャービック

濃密な黒と色とりどり


僕より先に大人になったあの子

微かに痛い透明





海馬のカレイドスコープを背負って
時間の砂の堆積の中から
緑と青と白とその隙間にある
無数の明るい色と寒い色を探し当てる

夏休みの密かな課題は
僕の背中の裏側に
あの頃のざわめきを甦らせる

それが夢だったのか現だったのか
今ではもう分からないけれど



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