夏休み/
nonya
供には人気者だった
爺やの歯の抜けた笑顔
ちょっと淋しい茶色
隣町の花火に見惚れて
とけかけたシャービック
濃密な黒と色とりどり
僕より先に大人になったあの子
微かに痛い透明
*
海馬のカレイドスコープを背負って
時間の砂の堆積の中から
緑と青と白とその隙間にある
無数の明るい色と寒い色を探し当てる
夏休みの密かな課題は
僕の背中の裏側に
あの頃のざわめきを甦らせる
それが夢だったのか現だったのか
今ではもう分からないけれど
戻る
編
削
Point
(21)