ほら、そこで見なれない何かがまた息を潜めている/ホロウ・シカエルボク
ととんでもない目に遭うぜ、なあ、まるでハイスピードのマシンで行われるレースみたいだ、あらゆるものが通り過ぎていくんだ、まぶたの裏をあらゆるものが、血が噴き出すみたいに高速で飛び出して行く、血の温度ですべては焼きつくされるだろう、そうして欲望は成就されるだろう、その時だけの成就、その時だけの悟り、確信なんて決して持っちゃいけない、それは本当の道を進む時に目障りな看板以上の意味を持ち合わせやしない、どこやらの軍隊の遊びみたいに、狩った連中の生首を並べるのさ、そいつらが一斉に歌いだしたらおまえも歌うんだぜ、そうしないと追いつけない、そうしないときっと実体には追いつけないんだ、見えないものが蠢いているのが判るはずさ、聞こえないものが叫んでいるのが判るはずさ、だからこうして書いているんだろう、だからこうして竜巻のなかで目を見開いているんだろう、始めろよ、きっともう少し捕まえられるものがあるはずさ、邪魔になるようなものはすべて排除すればいい、静寂が五月蠅いと思うようになったら、そのとき欲望はちょっとしたものに化けて楽しませてくれるはずだぜ…
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