岸田劉生「写実論」を読み解いて考える、批評とは何か/中川達矢
も、コピーとも言える作品から感動を覚えることもある。つまり、写実という手法の名において、オリジナルから生まれたコピーである作品、という認識自体がそもそもの誤りなのであり、コピーである作品もまたオリジナルであると思わなければならないのだろう。
ここで少し話が脱線するが、私は最近authorityという問題をよく考える。この言葉は「権威」と訳される言葉であるが、文字を見ればわかる通り、author、つまり、「作家」と訳される言葉と近い関係にある。芸術においてのauthorは「画家」になる。その画家は、作品に対して「権威」を持っている。それはどのような権威であるか。簡潔に述べるならば、「どのように描
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