本当のこと/葉leaf
 
枯盛衰を写実することに陶酔していたい
(それは本当だろうか
 本当は昔の哲学者の書いた本を読んでいたい
 太古から伝承されている神話の世界を何度も繰り返したい
 減るものも加わるものもなく
 ただ重みを増していくものを
 いつまでも振り子の軌道に閉じ込めておきたい

社会に開かれていたい
自分を取り囲むすべてのものへと
鋭敏な感受性を差し伸べ
無限の他者や異質な社会へと
その超えられない裂け目をいつでも超えていきたい
社会に開かれると同時に社会が自分の中で開くように
(それは本当だろうか
 本当は自己に対して一番開かれていたいのだ
 自己と他者との対立や相克によって
 より明らかになっていく自己を鏡として
 何も超える必要などなく
 ただ足場をいつまでも踏み固めていたい


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