黒い蝶が飛びだった。虹はまだ架からない。/創輝
 
真白い蝶が飛んでゆく
空へ 私の生きる地から逃れるように
あの暖かい(燃え盛る)太陽という名の安らぎへ
脆い(もろい)羽をはためかせ

黒い蝶が飛んでゆく
空へ 私の横たわる大地から旅たつように
あの 光を放つ月という名の優しさへ
薄い羽をはためかせ 魂を引き連れて

   飛んでゆく

だがしかし真白い蝶は太陽にたどり着く前に力尽き
イカロスの如く母なる大地に抱き戻されるのだろう
この 優しく自由な「引力」という鎖で私たちを縛るように
めいっぱいの優しさで 愛情で真白い蝶を地面に落とすのだ

黒い蝶は 月の明かりに照らされて
その黒をいっそう際立た
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