おれは番犬だ/殿岡秀秋
おれの家にはカミサマがいる
毎朝公園を散歩する
おれがよりそって歩くので
怪しげな影は近づかない
近所で揉め事だ
カミサマを守っておれが出ていく番だ
言葉に気合を入れる
四十年近くも会社勤めをして
吠える場面も幾たびかあって
声帯もこころも鍛えてある
ナメンナヨー
とマア下品な言葉使いはしない
毛並のいい犬のように
姿かたちを整えていないと
近所の奥様たちに
そのうち尻尾を踏まれてしまう
カミサマは褒美をくれる
朝はサラダとスープ
晩にはビールがつくこともある
おれはしっぽを振るかわりに
ありがとうといって後片づけを手伝う
疲れやすいカミサマのために
毎
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