ひとつ 呼吸/
木立 悟
度も吹き荒れ
白さえ白を失くした原に
狂った空からつづく海
静かにつぶやき 透きとおる蒼
祭や家族のまぼろしが
坂道に焦がれ 打ち寄せる
舟が流れ着き
子らは下りる
見知らぬ冬が
森のむこうにゆらめいている
うたであり うたでないもの
洞の襞でありつづけるもの
朝を覆うひとつの花
明るく荒んだ呼吸をする
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