うみのかみさま/佐東
こうとするのだけれど
ねむれない夏の子どもの
ベッドのうえにかりだされたりします
夏の子どもはひつじたちに
絶え間なく反復する波をとびこえさせてみたり
ひつじたちの耳をぎゅってにぎったりしています
そんなひつじたちの様子を
うみのかみさまは
七月の
とおざかる
海なりのなかで
夕なぎいろのほそい目をしてながめています
ないているのか
わらっているのか
わすれていってしまうのか
* * * * *
うみのかみさま
ないしょのはなし
ちいさなこえで
はなそ
はなれ ばなれ
でも
泣かないから
ね
戻る 編 削 Point(1)