うすれてゆくなかで/
信天翁
せみしぐれが
腕組みのまどろみを誘う
青春時代の囁きは
追憶の底に沈殿し
壮年時代の呟きは
回想のなかに溶解し
初老時代の轟きは
随想のそとに飛散し
老残となったいま
たわ言は記憶のかなたに
ヘドロとなった
あゝ・・せみしぐれが
胸声の読経をうながす
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