命日/
春日線香
枕が熱くて眠れない
という風に文字が頭に入らなくて
本をあれこれとっかえひっかえしている
花瓶に挿しっぱなしの花は枯れ
早く替えないといけないなと思う
窓の外は静かな真夏日
届くはずの郵便は届かず
池の鯉は泳ぎ疲れて
わたしも眠りの中に入っていきたい
けれど今は我慢して
もう少しだけ、もう少しだけ……
すると、チーンとお鈴の音が鳴り
仏間で親戚に囲まれているわたしが
あんなに楽しみだった
自分の命日を思い出すのだ
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