ほむらやまい/佐々宝砂
 
段を進む。
どこかに仲間はいないだろうか。
緋色の手のひらを持つわたしの仲間が。
ひとりでいい。
たったひとりでいいから。

廊下の突き当りに重そうな扉があった。
冷凍室とあった。
鍵はかかっていない。
ぎい と開けた。

冷たいはずのその部屋の中央に
輝かしい緋色のヒトガタがあった。
ほむらやまい。
そのヒトガタが口にしたのか
それとも単にわたしの思いつきだったのか。

他にどうしていいかわからなかったから
しかしそれしか方法がわからなかったから
手を伸ばした。

友よ。

ヒトガタは燃え上がり
燃え上がり
ヒトガタではなくなり

ほむらやま
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