おしぼり/
あまのじゃく
あなたとは一生関わり合うことのない他人になりたいと彼女は言った。彼女とはとても長い時間を共有していたので、別れてからもしばらくはときおり一緒に食事をしていた。ある日彼女は大事な報告があると僕を呼び出し、なにかを言いかけてためらい、テーブルのおしぼりを広げるとそれで顔を隠しながら、好きな人ができたと僕に伝えた。彼女の顔は見えなかった。僕はおしぼりを隔てて、彼女が僕と一生関わり合うことのない他人になりたいと言うのを聞いた。
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