熱中時代熱中症編 PART?/花形新次
 
アスファルトが
ジリジリ焼ける
額には汗が滲み
前髪が張り付いて
醤油に浸した海苔のようだ
ヨ、コ、ヤ、マ
最後に絞り出した言葉
「ノックの前に髪はナシ」
「ノックは瞳にして」(サミングか、この野郎!)
正直に言うと
ノックの前髪に覚えはない
ツルっと消えた後しか知らない
それが残念なことなのかも
今となっては分らない

OLがこちらを見ていた
喉仏が出ていた
唾を飲み込むたびそれが動いた
ディープスロートが浮かんだ
おばちゃんが近づいてきた
拒否するだけの力は
俺にはもう残っていなかった
おばちゃんのされるがままにした
おばちゃんはマウストゥマウスをする気満々だった

もっと前に
ポカリを飲んでおくんだったなあ

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