わたす/
砂木
私が拾わねばと むきになって骨を拾ったが
箱の中に入った形になっても 父さんなのであった
ちっとも恐くなかった
お墓に入れる前に 箱を抱いた
お墓に入っても 父さんだった
死んだ人ではなかった
お墓の中の骨に 父さんと呼びかけながら
会社の帰り かすかに見える新しい墓標に眼をこらす
死ってなんですか 父さん
変わらずに 父さんじゃないか
でも 安らかに死を
頼む 死よ 安らかなる死後を
笑い顔の遺影のように
安らかなる死でありますように
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